あさま銀嶺3号ぶろぐ

ヤフブロより移籍です

801レ 「鳥海」乗車記  1981.5.3

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5月3日、3連休1日目の夜の高崎駅はしとしとと雨にけむっていた。 時折吹き抜ける風がちょっと肌寒い。
やがて 「 鳥海 」 号の入線アナウンス ~2番線には22時43分発、秋田行急行 「 鳥海 」 号到着でございます。 白線より下がってお待ちください・・~   ボクは4号車の 「 グリーン車乗車口 」 の札の下に立った。
間もなく上野方からEF58132に牽かれた 『 鳥海 』 が姿を現した。 停車すると直ちに機関車交換。
EF58132に替わりEF58173が連結された。 車内に入ると減光された蛍光灯の下の赤いリクライニングシートに収まって寝ている人が大部分。もちろんシートはいっぱいに寝せてある。ボクの席は車端の1番B席である。 ふと隣の席(通路を挟んだ)を見ると、ジーパンに白いウインドブレーカー、それに白い帽子のスタイルの中学1~2年生くらいの男の子が、車掌氏にノートを差し出しサインを求めていた。 彼も旅行好きなのだろうか・・ 「 どこまで行くの? 」 と聴くと 「 余目まで 」 との答え。  それきり会話はしなかったがちょっとシブイ少年であった。
やがて渋川に着いた。水銀灯を反射する雨に濡れたホームが何となく物寂しい。渋川を出るとまた窓は黒い壁と化した・・。
そして水上に到着。ここでは上越国境越えの助っ人、EF64が着く。 早速ホームに降りて列車の先頭方向に歩いた。ここは高崎よりも雨が強い上により冷たい。 EF641005が手際よく連結され、2・3枚写真を撮って引き揚げる。

 

 1981.5.3 「 鳥海 」
 EF58 173     高二    高崎~新津
 10 スハフ42 2249 秋アキ
9 オハ 46 2662 秋アキ
8 オハ 47 2250 秋アキ
7 スハ 43 2016 秋アキ
6 オハ 46 2661 秋アキ
5 スハ 43 2019 秋アキ
4 スロ 62 2021 秋アキ (乗車)
3 オロネ10 2077 秋アキ
2 スハネ16 2175 秋アキ
1オハネフ12 2097 秋アキ
   マニ 50 2061 秋アキ
   スニ 40 2039 北オク    ~新津
   スニ 41 2008 北オク    ~新津

 

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 氷雨の水上。 
 
 
 
 
 
 
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 EF641005が補機。 連結作業。 
 
 
 
 
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 国境のヌシも世代交代。 EF641005はジャンパ灯がまだない。
 
 
 
席に戻るとさっきの少年がノートに駅スタンプを押してきていた。彼も趣味の幅が広い。
やがて発車。EF64の助けを借りてEF58と13両の客車は闇の上越国境越えに入った。 20‰が延々と続く峠路をゆく。 山に入った為か、窓の外を流れる灯はかなり減った。 やがて新清水トンネル・・入ってすぐに一直線に蛍光灯が続く湯檜曽を通過。とたんに列車の響きがゴーッ!と共鳴する。耳障りなので、北海道型でもないのに装備されている二重窓の二枚目を閉める。これだけで大分違う。 やがて二つ目のトンネル駅である土合を過ぎた。さすがに新清水トンネルは長い。入ってから出るまでざっと9分かかった。 トンネルを出て窓にぺったり顔をつけて外を見ると、なんと雪があった。北側の斜面だけではあったが驚いた。今年は 「 五六豪雪 」 の年であったが、ゴールデンウイークまで雪が残っているとは・・・。
すこしウトウトして目が覚めると石打であった。外は相変わらず冷たい雨が降っている。 列車の前のほうからオバサンが歩いてきて車掌氏に声をかけた。 「 あの~っ 暖房入りませんか? 寒くて寝られないんです 」 車掌氏が 「 あっ そうですか。それではすぐに入れましょう 」 と、二人で機関車のほうへ歩いていった。 ~確かに寒いな。さっき水上で雨に濡れたせいもあるけど・・・。
EF58の電暖灯が点き、車内に暖房が入った。 ・・にわかに車内が暖かくなると何となく眠くなってきた。少しまたウトウトとしてついに寝てしまった。 ・・夜汽車の鼓動は心地よいララバイになる。
目が覚めるとどこかの駅に停まっていた。よく見ると新津であった。・・時間は?と時計を見ると午前2時40分、まさに夜中である。 隣のホームにブルートレインが停まっている。方向幕には日本海号の大阪行とあった。 青森を昨19時23分に旅立った 「 日本海4号 」 である。 この列車の今来た道をゆくボクにとっては何となく嬉しい出逢いであった。
日本海4号 」 はステンレスのストライプを残して大阪へ向けて発車していった。 こちら 『 鳥海 』 は機関車がEF58→EF81に替わり、後ろニ両のスニも切り離され、身軽な姿になって一路羽越本線に乗り入れる。 2時50分、再び列車は闇の中へ発車した。
機関車が替わり、編成も短くなった為か、さっきまでより大分スピードが出ている感じだ。・・列車が大きな鉄橋を渡る頃また眠りに落ちた。 途中、新発田で目が覚めたような気がするがはっきり覚えていない・・・。
次に目が覚めるともう夜が明けていた。 窓の外には果てしなく海岸線が広がっている。空はどんよりしていたが雨は上がっていた。 まずまずの天気だ。
 
 
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夜が明けると厚い雲に覆われた海岸線を走っていた。



 
 



列車は鼠ケ関に着いた。向こうのホームには真っ赤な50系客車が停まっている。新津のクルマだ。
幾人かの人が降り、列車はまた発車する。車窓左手に海岸線、右手に新緑の山々が広がる中、朝もやをついて走る。    
 
 
 
 
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数々の駅を通過していく・・ 終点・秋田目指して・・・・・・・・・。   
 

 

 
 
  

 

あつみ温泉で30人ほどの客を降ろすと、海岸線から少しそれて内陸部を走る。 小波渡を通過した頃何となくデッキに出てみた。そして写真を2・3枚程撮る。・・なかなか美しい景色だった。
 
 
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列車は美しい緑の朝を走る     三瀬~羽前水沢  
 
 
 
 
 
 

 

列車は水田地帯を走りつづけている。晴れていればこの水田の向こうに美しい山々を望むことが出来るのだろうが、今日は残念ながら低く立ち込めた雲の中である。
やがて鶴岡に着いた。昨夜来の少年が次の余目で降りるための準備を始める。ボクはホームに出て写真を一枚。 そのとき車掌氏が声を掛けてくれた。「 手持ちで大丈夫かい? 」 「 えェ、まあ何とか・・ 」 「 ASAは400なの? 」 「 えっ 100ですよ 」 「 ふ~ん 」 というような会話が続いた。 
 
 
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鶴岡 5:34 着   
 
 
 
 
 
 
 
7分停車の後、列車は鶴岡を後にした。 車内は大分空いてきた。隣の席の少年はもう降り支度も済んで窓を開けて流れ去る風景に見入っている。ボクも外を眺める。 相変わらず広大な田園風景が続いた。
鶴岡を出て15分程で余目に着いた。少年が静かに降りていった。
 
 
 
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車窓は広大な田園風景が続く・・。   
  
 
 
 
 
 
あの少年はどこへ行くのだろう・・自宅へ帰るのか、それとも陸羽西線のDCに乗り換えて新庄方面へ向かうのか?  まあ、この列車に乗っている人それぞれに目的と行先がある。そんなことを思ったりするのはなぜだろう。あの少年が無言のうちに何かを語っていたのかも知れない・・・ふと、そんな気がした。
列車は庄内平野の真中を快調に飛ばしている。 最上川の流れを渡った。間もなく酒田である。そろそろ鳥海号の故郷、鳥海山が見える頃だが相変わらずこの辺りの山々は雲の中に顔を隠したままである。
酒田に着いた。 終着・秋田まではあと100Km程である。 
 
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牽引機はEF81 71号機だった        酒田  
 
 
 
 
 
酒田では停車時間が7分程あるので、ホームに出て顔を洗う人や駅弁を買う人などが多い。 時間も6時を少し廻った辺りなのでいつもの生活に合っているのだろう。 そこでボクは列車の先頭方向へ歩いてみた。 それは列車内の様子が見たかったのと、新津から牽引のEF81は何号機がついているか確認したかったためである。
  
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編成の後ろ、寝台車の付近のホームには誰も居ない      酒田  
 
 
 
 
 
車内の様子は? というと、高崎発車時よりだいぶ空いているが、この酒田あたりから朝一番の急行の性格も帯びてくるので秋田までの短距離利用客も結構居るようだ。
先頭についたEF81は酒田区の71号だった。ヘッドライトを減光して点けている。 EF81は結構騒音が激しい。地元のEF62より低く大きな音だ。  空から小粒の雨が落ちてくる。秋田の空もこうなのだろうか?ちょっと不安になってきた。 
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ここの駅も雨に濡れていた     酒田  
 

 

 
 
 
席に戻り耳にイヤホンをしてカセットを聴いた。 列車で音楽を聴きながら旅をするのはいいものだ・・間もなく酒田を発車。後続の『天の川』は今ごろどこを走っているのだろうか?・・ふとそんなことを考えた。 時刻表を見ると『天の川』は白新線内を走っていることが判った。 今度は20系でこの路を走ってみたい。20系客車の車窓から見るこの景色は少し違って見えるだろうか・・・。
しかし、この『鳥海』のような旧型客車の寄せ集め編成は今や希少価値的な存在になってきた。 どことなく郷愁の漂うこんな列車がなくなっていくのはなんとも寂しいものである。 やがてこの『鳥海』も12系化される日がこよう。その時にはまた乗ってみたいものだ。 
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小さな漁村も車窓をかすめる  
 
 
 
 

 

列車はいつしか遊佐に着いていた。急行を停めるにはもったいないような小さな駅だが、結構乗降客がいる。そんな乗降客の中から一組のカップルがこのグリーン車に乗ってきた。 二人は車掌氏に案内され車両の一番前のシートに収まった。  隣のホームから交換列車であるED75-700牽引の上りフレートライナーが発車していった。 そしてこちらも発車。しばらく走ってまた海辺に出た。 
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車窓にはまた海岸線が広がった   
 
 
 



・・・続く(文字数オーバー)
https://tettd489.hatenablog.com/entry/20072615